前回までのエントリーで、一旦収まったX11。というわけで再始動とはここからの話。

足廻りに着手

再始動と言いつつ、まだ第一期近代化改修の話。
ホイール、エンジンと来て、やらないわけに行かないのが足廻り。当時のワタクシは、今よりうーんとバイクのことを舐めくさっていたので、四輪車のサスキット交換くらいの気分で手を出してしまいました。

ことの始まりは、ツイッターのフォロワーさんからいただいたリアショック。
故前田淳氏率いる今は亡きエイミングスポーツさんが、かつて耐久レースにX11で参戦していました。もてぎの耐久レースにて、2位という見事なリザルトを残したこのX11レーサーのリアショックなのだそうです。それが回り回ってワタクシの元に。
以前、中古フルエキ購入時にオマケで付けてくれたオーリンズ製フォークスプリングが倉庫に眠っており、これをチャンスにと一気に前後とも交換。
動きが変わったのは認識できていたけど、それが良くなっていたのかは当時の自分にはわからず、「きっといいに違いない!」と乗り続けていました。まあ、「ちょっとわかってきた」くらいの時はそういうもんです。バイクに乗るけど調子にも乗っているのです。

X11フロントフォーク
ただのバネだけど、当時はありがたがってました

ちなみに、このリアショックは全長が少し長く、センタースタンドが使えなくなっていました。なのでその時にセンタースタンドは取っちゃってます。
フォークスプリングは直巻。いわゆるシングルレート。なので1G時の車高はかなり上がってます。リアも高くなっていたので、特に気にせずバランス取れていたみたいです。偶然って怖い。
一応名誉のために書いておくと、車高が上がるのは知っていたし、リアショック交換後の感じから、あのフォークスプリング入れたら丁度よいんじゃないかなー、と感じたので交換したんですよ。本当に「カスタムすれば何でも良くなる」という『バイクに詳しい先輩(笑)』理論が働いたワケではありませぬ。いや本当だって。

そしてこのあとから第二期近代化改修が。

ラジアルキャリパー化

CBR1100XX/X11のブレーキカスタムというと、連動システムのキャンセル。
Dual Combined Brake System 通称D-CBSと名付けられたこの連動ブレーキシステム。90年台半ばからホンダが推していた安全装置で、高速域から短距離で安定して停止する、という点においては素晴らしい効果を発揮してました。ノーズダイブを抑える効果も凄まじく、車体全体が沈み込みながらギュウウンと速度が落ちていく様はまるでミッドシップの四輪車のようでした。
しかし、このシステムも欠点はあり、サーキット走行においては、向きを変えやすくするための意図的なピッチングが起こしにくく、奥までブレーキを残すとリアがバタつくという問題が。そして、低速走行においては、強めのリアブレーキでフロントにも制動がかかり、Uターンなどの小転回時の転倒の原因になる事も。
この辺りはホンダも把握していたらしく、後から出たモデル程、連動が弱くなっていました。前後ブレーキ配分をコントロールしているPVCと呼ばれるパーツは、この世代の車種ではお互いに流用できるようで、このPVCを他車種のものに交換する事で、ある程度好みのバランスに近づけるといったカスタムもありました。

連動システムのキャンセルには、
前→後の連動をキャンセルし、意図的なピッチングを可能にする。
後→前の連動をキャンセルし、リアブレーキによる駆動力のコントロール幅を広げる。
以上の2つの目的があります。これら片方のみが必要な場合、どちらかの方だけをキャンセルする事もできますが、たいていの場合は両方のキャンセルをする事が多いみたい。

前→後キャンセル
一般的なやり方としては、フロントのサブマスターを外し、キャリパーサポートの可動部を固定。PVCとそれに係る配管の撤去。これが一番お手軽。これによってフロントブレーキをかけた時にリアブレーキが作動する部分はキャンセルできる。こだわる人はCB1000SFのアウターチューブを流用し、ブレーキキャリパーもCB1000SFの物を流用。キャリパーが対抗4POTになるオマケ付き。ただし、この場合は後→前連動もキャンセルする必要があります。

後→前キャンセル
リアマスターシリンダーからフロントへ向かう配管を撤去し、フロントキャリパーの中央ピストン用配管の接続部にフタをする。リアマスターシリンダーを径の小さいサイズに交換(ここは気にしないならOK)。

以上が、今までD-CBSキャンセルの定番作業でした。
X11をイジってる旨を話すと、これらを勧められてきました。ところが、X11の連動ブレーキは、ブラバやVFRに比べるとバランスが良く、特に不具合は感じていませんでした。そして連動ブレーキのメカメカしいルックスも気に入っている点の一つ。これを普通のキャリパーに変えてしまうのも勿体ない。

そんなこんなで放置していたブレーキ周りだけど、この間に事情が変わってきます。
一つが、ライディングスタイル。
練習の為に数ヶ月ほどモタードを体験。これが中々の衝撃でした。
常に減速か加速のどちらかをしており、例えヘアピンでさえも旋回のみの時間はほとんどなし。向きが変わるまでフォークは縮みっぱなし。加速でバッと車体が起き上がり、フロント持ち上げたままの切り返しも。コーナリングで重要なのは前後の荷重の受け渡し。
そしてモタードほど見た目には現れない物の、今どきはスーパースポーツにおいてもこの点が重要なポイントになっていました。
いや、昔からこの乗り方はあったのでしょう。しかし、当時のロードバイクはこの乗り方を許容できる性能がなく、一部のライダーのみが部分的に取り入れるに留まっていたのではないかと思います。

正立フォーク+ラジアルマウントキャリパーの出現
海外では、高性能バイクには倒立フォークを装備するのが当たり前という風潮があるそうです。この車種に倒立フォークは必要ない、むしろデメリットの方が大きいんじゃないか、と思える車種であっても、主に見た目の問題で倒立フォークが装備されました。
日本がオーリンズにアフター品の正立フォークを求めた時、なかなか理解されなかったという話も聞いたことが。それくらい彼の地では「とりあえず倒立」という空気があるようです。
しかしめげない日本人。日本からの要求に折れたオーリンズは、ついに『正立の高性能フォーク』をリリース。そしてヤマハはVMAXの新型にΦ52とかいうキチガイみたいな正立フォークを与え、ホンダは新型VFR800Fに正立+ラジアルマウントキャリパーという渋すぎるコダワリのコンポーネントを装備させてきます。

これに決めた

そんな訳で、我がX11には正立フォーク+ラジアルマウントキャリパーでいこうと決心しました。
ホンダの正立フォーク好きは前々から感じていた事。X11の新型が出るなら、きっと正立フォークであろうと考えていました。そして、前述のD-CBSのメカメカしい見た目が好き問題も、ラジアルマウントのキャリパーなら十分クリアできる。
まさに福音。これを機に妄想が走り出すのでした。

ラジアルキャリパー
これは現在のX11の状態。完成?
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