既に足回りにも一通り手が入ったあと、セッティングで悩んでいる状態で書いてます。時系列的には前回のエントリーの続きにはならないかな。

セッティングの参考にしよう

ホンダの旗艦ネイキッドの地位を守るために始めたX11のカスタム。前後とも足回りが変わっているため、ノーマルとは大幅に違う乗り物になってます。
なので、セッティングはホントに1から。どこを目指すかを決めなければなりません。

カスタムのテーマとして、『ホンダが今X11を出したら』というのもありまして。そうすると、今のホンダがビッグネイキッドにどんな性格を与えているか、そして自分が目指す方向としてそちらで満足できるのかを確認しておかねばならぬのです。

現在、ホンダの旗艦ネイキッドといえば、CB1300SF/SB
カタログスペックでの比較では、サイズはほぼ同じ。重量もかなり近い。重量に関しては、ウチのX11は20㎏以上軽くなっているはずなので、ちょっと比較はしにくいけど。
大事なのは、具体的な性能よりどんな方向を目指しているのかを知るという事。

というわけで、CB1300の、それもSPモデルに試乗してきました。

CB1300SB、その『SP』の冠

CB1300SF/SBのSPモデルには、数々の高級パーツを奢られています。
前後サスペンションはオーリンズ製。リアのオーリンズは過去に装備された事のあるなんちゃってオーリンズではなく、リプレイス品と同等の内部構造を持つ「本物」のオーリンズサスペンションだそうです。
フロントブレーキはブレンボ製モノブロックキャリパー。アフター品にありがちなサポート介した物ではなく、ボトムブラケットに直接締結する本当のラジアルマウント。

CB1300にこれ装備するんか

と、ちょっと尻込みしそうなスパルタンさを彷彿させる装備です。
しかし、走らせてみたら意外や意外……?

魔法の絨毯

キャラクターはとても穏やか。
跨って最初に感じるのが、足着きの良さ。シート高は通常モデルのCB1300より1cm高く、X11と同等。ですが、シートの角が上手く落としてある事と、傍から見た時の迫力とは裏腹に意外なほどスリムな車体で足着きは良好。
腕を自然に前に伸ばせばそこにハンドルグリップが。膝の曲がりにも余裕があり、なにも考えずに座るだけで脊柱は自然なS字カーブを描きます。どこにも気になる点がないポジションはお見事としか言いようがありません。
思えば初代BIG-1ことSC30型のCB1000SFは、軽く引き笑いが出るくらいのデカさだったんだよね。「乗れるもんなら乗ってみろ」とかいうのがコンセプトだったらしいので、それを考えるとライダーに優しいバイクに育ったんだなあ。

タンクの容量はX11とほぼ同等の21リットル。にもかかわらず、とてもスリムに感じる。これはX11が、前傾したシリンダーのエンジンにダウンドラフト気味の吸気システムと、その上に乗っかる大容量のエアボックスを持つ、あくまでパフォーマンス重視のコンポーネントだから。あの馬鹿デカいタンクは、前半分は平べったく、後ろ半分で容量を稼ぐ、スーパースポーツのタンクのような構造なのです。

それに対しCB1300は、直立したシリンダーを持つエンジンにサイドドラフトの吸気システム。そこから真後ろに必要十分なサイズのエアボックスを配置する、オーソドックスなコンポーネントのバイク。それが結果としてライダー優先のレイアウトになっています。

ウチのX11は、バーハン化してはあるけれど、ポジションはノーマルとほぼ同じにしてあります。
それと比べると、CB1300のハンドルは高く、近い。
これは、単純にCB1300の標準ハンドルバーの形状の問題だけでなく、タンクの長さも影響しています。そして、CB1300はこのハンドル位置がリラックスしたライディングポジションを実現させ、あの巨体ながら走り出せば非常にコンパクトに感じられるのです。


cb1300spタンク
X11タンク
タンクの容量はほぼ同じ

エンジンはとにかくスムース。
CB1300のエンジンって、いかにも4気筒らしいゴリゴリしたエンジンだと思っていました。それが、まるで分厚いゴムマウントを介しているかのような振動の少なさ。
吹け上がりはまずまずなれど、吹け落ちは重いたので、クランクマスが相当に大きいのでしょう。これが微振動を抑えて乗り心地に貢献するとともに、極低速での粘り強さにもつながっているのだと思います。アイドリング付近での振動の少なさは、フルバランス済みのX11すら上回ります。

そして特筆すべきは足廻り
笑っちゃうくらい乗り心地が良い。路面の凸凹をキレイにいなす、なんて言い方じゃ生ぬるい。あれはきっとミノフスキークラフトかなんかで浮いてるよ、てくらいに乗り心地が良い。

オーリンズのサスペンションというと、レースイメージが強くてどうしてもスパルタンな仕様という先入観を持ってしまう。実際、アフターパーツとして売られているオーリンズのサスは、ポン付けでレースにも対応できるような仕様。彼らの言う「サーキット仕様」というのは、年数回の走行会くらいのユーザーは眼中にない。
んで、オーリンズはそういうモノというイメージのため、このCB1300 SPを試乗する時も少々身構えてしまった。のだけど、これがびっくり。
想定してる荷重設定は標準モデルと同じくらいみたいで、高速域でよく動き、低速域でしっかり減衰力を発生する、オーリンズの良い所を乗り心地に全振りしたようなセッティング。そこらの荒れた道路を、まるで舗装したてのようにスルスルと走っていく。○玄社の雑誌なら「ビロードのような」とか言っちゃうのだろうか。
重たいながらもスムースに回るエンジン。どこにも違和感を感じないリラックスしたライディングポジション。滑るように地面を均して走る足廻り。高い視点からの景色と風を感じながら、どこまでも走っていける気がしてくる。これはあんた、素晴らしいツーリングマシンですよ。まさに魔法の絨毯。

いやあ、いい経験をしたわ。

今後X11が目指す方向性

今回CB1300SPに感じた事は、『これで良い』を『これが良い』と言わせるまで突き詰めていった感じ。「普通」を究極的に磨き上げた結果、オンリーワンになっていた、とでも言えば良いかな。

でも、ワタクシがX11に求めていたのとはちょいと方向性が違ったっぽい。
おかげで、目指す方向がより明確になりました。あと、「もう少しウマい方法あるんじゃないかなあ」と思っていた部分が、「ああ、これで良いんだ」になりましたワラ
チャンスがあればCB1000Rも試乗してみようかしらね。

CB1300SP外観
CB750FCの青を彷彿させるカラー
オーリンズ製フォーク
アフター品には設定のない正立+ラジアルマウント
ブレンボキャリパー
組み合わされるブレーキホースは硬度まで専用設計だとか
オーリンズリアサス
ミノフスキークラフト
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