こんなに高い250cc、というけれど…」に関連するお話。

「2stだからパワーがある」とか「4st2気筒はパワーがない」とかという話、よく耳にしますよね。

 

エンジンはなにも『無からパワーを生み出す魔法の箱』というわけではありません。

あえて面倒くさい言い方をすると、エンジンというのは、ガソリンという低エントロピー(使い易い形態)のエネルギーを、熱や運動エネルギーという回収の難しいエネルギーに変換するだけの装置です。

もう少し砕いて言うと、馬力というのは同じ時間でどれだけのガソリンを燃やせるか、ということ。

2stエンジンがパワフルなのは、同じ時間でたくさんガソリンを燃やしてるから、なのです。

(変換効率という点で見ると、2stは4stの70%程度らしいので、むしろ非力(非効率的)なエンジンという事になるのだけどね)

もちろん、2stには、馬力に対するエンジン単体の軽さと小ささというメリットはありますが。

 

で、これって同じ排気量なら、という前提での話になるんだけど、この分け方は今となってはあまり意味がないんじゃないかなー、と思うのです。特に公道においては。

競技の世界に目を向けた場合でも、かつての2stレーサーレプリカの後継車は600ccクラスのスーパースポーツたちなわけだしね。

 

大型二輪免許が試験場でしか取れなかった時代なら、馬力を得るための排気量の拡大というのはある種の禁じ手と言えなくもなかったんだけど、大型二輪免許を持っていることが二輪車を趣味とする場合のほぼ前提条件になってる現代においては、排気量だけを基準にしたカテゴライズはあまり意味がないような気がしています。

車検の有無というのもあるけれど、車検のない乗り物だって整備はしなきゃならんのだし、整備をお店まかせにしてお金を払うのであれば、金銭的な差は2年毎の重量税分くらいしかないわけで、実際には『精神的な重圧』でしかないんじゃないかな。

 

というわけで、馬力の違いというのはあくまでその車種の個性であって、数字の差がヒエラルキーとなることは、今どきはないんじゃないかなと思うのです。

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